経営者の皆様

雇用継続

働き方改革が推進される現在、長く就業している従業員であっても、新しい知識を得ることでより良い働く環境を求める意識は高まっています。働き方の多様性が広く考えられるようになった今、労働条件は賃金だけではなく労働環境も含めた条件として考えられるようになってきています。
雇用継続のポイントは、それぞれの企業、事業場が働き方改革という新しい波に乗っていけるが重要となっています。働き方改革は人材活用の最重要項目としてそれぞれのポイントを確認していきましょう。

「就業規則」

「就業規則」のひな形は、「厚生労働省ホームページ」のこちらからダウンロードが可能ですが、様々な業態を想定した「モデル就業規則」であるため膨大なものになっています。
自社の各事業場の実情に応じた「就業規則」の作成は、社会保険労務士など専門家に依頼することをお勧めします。

動画再生
#4 残業はしてもらいたいが、残業代に押しつぶされそうの巻
動画再生
#5 36(サブロク)協定
動画再生
#6 年次有給休暇
「雇用契約書と労働条件通知書」

「言った、言わない」のトラブルを避けるため、最近では、「雇用契約書」に「労働条件通知書」の内容を盛り込んで、使用者、労働者双方の署名・押印をして、「労働条件通知書兼雇用契約書」としています。
 こうすることで、労働者と使用者の合意のもと雇用契約を締結したことが明確にでき、かつ、労働基準法上の労働条件の明示義務も果たすこともできるのです。
「正規雇用向け」と「非正規雇用向け」のひな形を作りました。こちらからダウンロードが可能です。

  • 労働条件通知書兼雇用契約書/ 正規雇用向け
  • 労働条件通知書兼雇用契約書/ 非正規雇用向け
動画再生
#3 新規雇用・労働条件通知書兼雇用契約書を記入するの巻
「法定労働時間と時間外労働・36協定について」

石油組合が先に行なった調査でも、「時間外労働」を行なっているSSが多くありました。しかし、法律で決められたものへの対応の差が大きくありました。
この機会にいま一度確認しましょう。

従業員の残業のために会社が行なわなければないこと

①法定労働時間・法定休日と特例措置の把握(これを超えた労働が時間外労働)

 ※特例措置の適応条件

  • 常時使用する労働者が10 人未満のSS(事業場)であること
  • 就業規則や雇用契約書に週44時間となることを明記すること(労使間の同意)
  • 「変形労働時間制」を使う場合は、労使協定の締結と届出が必要
  • 対象となる労働者は正規・非正規を問わないが、18歳未満の労働者は適用外

②法定労働時間・法定休日を越えない運用例

③変形時間労働制とは

変形労働時間制は、繁忙期と閑散期があるSSの場合、その時期に合わせて労働時間を調整できるというものです。
繁忙期にはやるべき仕事が積み重なり、勤務が1 日8 時間を超えてしまうこともあるでしょう。そんなとき、変形労働時間制を取り入れていれば、法定労働時間を月単位(1年単位1週間単位などありますが、SSでは月単位での運用がおススメです)などで調整することで、勤務時間が増加しても時間外労働として扱わなくてもよくなります。

※労働者のメリット
変形労働時間制が設定された目的は、多様な働き方に対応することです。一定時間内で漫然と仕事をするのではなく、仕事の状況に応じて働く時間を調整することで、業務の効率化や余暇の有効活用につながることが出来るでしょう。

※変形労働時間制導入の手続き(1か月単位の場合)
変形労働時間制を導入するにあたっては、労使協定または就業規則にその旨を規定しなければなりません。定める事項は次の項目になります。

  • 対象となる労働者の範囲
  • 変形期間
  • 変形期間の起算日
  • 変形期間を平均して、1週間あたりの労働時間が週の法定労働時間を超えないこと
  • 変形期間での各日・各週の労働時間
  • 各労働日の始業・終業時間
  • 有効期間(労使協定の場合のみ)

労使協定で定めた場合は、協定を更新するたびに労働基準監督署へ届出が必要になります。一方、就業規則で定めた場合は、常時10人以上の従業員を使用する会社は労働基準監督署への届出が義務付けられているので、この制度を定めるかどうかに関わらず届け出が必要です。

 

④時間外労働とは
以上で解説した「特例措置」、「変形労働時間制」でも収まり切れない労働時間が発生してしまう場合には「時間外労働」となり、賃金の割り増しが必要となります。

※法定時間外とは各事業場で取り決めた所定労働時間に休憩の1 時間を加えた時間帯以外の時間帯のことです。
※深夜時間とは原則22時~5時です。交代制の場合には,行政官庁の許可があれば,16歳以上の男性に限り,22時30分まで,または5時30分から労働させることが出来ます。

労働者が「時間外労働」を行なうためには、労使間により時間外労働の上限時間などを「36(サブロク)協定」で締結し、所轄の労働基準監督署長あてに届け出をしなくてはなりません。

⑤36(サブロク)協定の内容
「36協定」とは労働基準法第36条によって定められた、「時間外・休日労働に関する協定届」をいい、中小企業においては2020年4月よりルールが大きく変わっています。

時間外労働の上限

 ※特別条項とは

  • 特別条項で時間外労働の上限時間を延長する回数は、年6 回までです。あくまでも繁忙期や緊急時を乗り切るための例外です。
  • “何となく忙しくなりそう” といった場合には特別条項を利用することは認められません。
  • 具体的な理由を明確にし、「特別条項付きの36 協定」を締結する必要があります。

「36協定」の詳細と届出の様式は厚生労働省のサイトをご参照ください。

年次有給休暇

1.付与の条件

①雇い入れの日から継続して6ヵ月雇われていること
②①の期間の全労働日の8割以上出勤していること

2.付与の対象

正社員、パート、アルバイトすべての労働者

3.付与のタイミング

年次有給休暇は、労働者が請求する時季に与えることとされていますので、労働者が具体的な月日を指定した場合には、その日に年次有給休暇を与える必要があります。
ただし、その時季に年次有給休暇を取得することにより事業の正常な運営を妨げる場合(同じ期間に多くの労働者が請求した場合など)には、他の時期に変更することが出来ます。

4.付与の日数

①フルタイムの労働者の場合

②パートタイム(週4日以下)の労働者の場合

5.年次有給休暇の取得(消化)

労働基準法改正により2019年4月から、全ての使用者に対して「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられています。
また以下のような罰則規定がありますのでご注意ください。

  • 使用者が、条件を満たす対象者に対して年に5日の有給休暇を取得させない場合は、「30万円以下の罰金」が科されます。
  • 罰金は従業員1人につき1罪です、従業員3名が年に5日を取得できなかった場合は、最大で90万円の罰金になります。
  • その他、従業員から請求された時季に有給休暇を与えなかった場合、就業規則で定めていなかった場合なども、労働基準監督署の指導や是正勧告がされ、改善されない際には罰則が適用されることとなります。
6.繰越

付与された年次有給休暇が年度内に取得(消化)出来なかった場合には、翌年までに限り下表の要領で繰越しが出来ます(付与から2年で時効ということです)。

7.計画的付与制度を活用して取得促進を!

①年次有給休暇の「計画的付与」とは
付与された年次有給休暇の日数のうち最低5日を残した残りの日数を計画的に取得する制度です。その方法には以下の3つのパターンがあります。

 (ア)会社や事業場全体の休業による一斉付与

 (イ)班、グループ別の交替制付与

 (ウ)計画表を使った個人別付与

SSではこれらの中では、(ウ)「計画表を使った個人別付与」の方式が馴染むのではないでしょうか。
SSの実態としてすでにこの方式を活用して夏季休暇などに年次有給休暇をあてるケースが多いのではと思います。更に誕生日や結婚記念日など従業員の個人的な記念日などを優先的に充てるなども検討されたら宜しいかと思います。
取得促進の好事例として、「アニバーサリー休暇」として記念日を含む3日連続の休暇や「スポーツデー」として、体に良いことをする自由な日を年間3日決めるなどがあります。

②年次有給休暇の「計画的付与制度」導入の必要な事

 (ア)就業規則により規定

 (イ)労使協定の締結

  • 計画的付与の対象者
  • 対象となる年次休暇の日数
  • 計画的付与の具体的な方法
  • その他

就業規則の改定、労使協定例などは、社会保険労務士等と各社、各事業場の実態応じてご相談されることをお勧めします。

同一労働同一賃金

同一企業における正規雇用労働者 と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
「不合理な待遇差の解消」とは「合理的な待遇差は認められる」ということです。
自社やSSに具体的な「不合理な待遇差」があるかの判定は下図の手順で行ないます。

上部へスクロール