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現況調査アンケート

令和2年度 働き方改革対応推進事業

この調査は令和2年10~11月に神奈川県石油業協同組合の組合員に向けて実施されました。
この集計結果については、社会保険労務士の荒木康之氏から講評を頂きましたので是非ご参照ください。
また、同氏監修のもと 働き方改革対応推進事業の各種取り組みの基礎資料とさせて頂いております。
ご協力いただきました組合員各位に深く御礼申し上げます。

基礎情報
Q1. 企業規模について教えてください
個人事業
8
小規模企業
(資本金5,000万円以下、または従業員数5人以下)
64
中小企業
(資本金5,000万円以下、または従業員数50人以下)
31
上記以外の「法人」事業
12
Q2. 経営および事業形態について教えてください
同居の親族のみで経営する「個人」事業
4
同居の親族のみで経営する「法人」事業
23
上記以外の「個人」事業
5
いいえ(含む準備中)
83
Q3. Q.2で「1」を回答された方のみお答えください。同居の親族のみで経営されている個人事業の場合、労災保険の適用を受けません。 業務上の病気や怪我については健康保険も使えないので、全額自費負担となります。その対策として民間の保険に加入されていますか?
はい
2
いいえ
2
Q4. Q.2で「2」または「4」を回答された方のみお答えください。 法人で社会保険に加入している人数が4人以下の場合には、業務上の病気や怪我でも健康保険が使えることはご存じですか?
はい
50
いいえ
56
Q5. Q.2で「1」を回答された方のみお答えください。 同居親族でも雇用保険の加入が認められる場合があることをご存じですか?
はい(加入済み)
0
はい(未加入)
2
いいえ
2
就業規則
Q6. 常時10人以上労働者数が働く事業場(SS等)がありますか?
ある
17
なし
96
Q7. Q.6で「1」を回答された方のみお答えください。 労働基準法で規定された就業規則は作成されていますか?
はい
16
いいえ
1
いいえ
0
Q8. Q.7で「1」を回答された方のみお答えください。 就業規則は正社員、パート・アルバイト、嘱託がいる場合には、それぞれの雇用形態に対応したもの(一つの就業規則で対応もしくは個別に就業規則ある)となっていますか?
はい
16
いいえ
0
その他(準備中など)
0
Q9. 作成された就業規則は各事業所を所轄する労働基準監督署に届け出をされていますか?
はい
16
いいえ
5
その他(準備中など)
2

Q10. Q.9で「1」を回答された方のみお答えください。
 作成された就業規則は事業場の従業員に周知し、いつでも確認できるようにしてありますか?

はい
16
いいえ
0
その他(準備中など)
0
労働条件通知書

Q11. 正規・非正規を問わず「労働条件通知書」はすべての労働者に対して書面で交付することが労働基準法で義務付けられていることはご存じですか?

はい(交付済み)
58
はい(準備中)
26
いいえ
29

Q12. 労働者と使用者の間で「雇用契約書」は取り交わされていますか?

はい(労働条件通知書と兼ねている)
48
はい(労働条件通知書とは兼ねていない)
12
はい(一部のみ)
10
未確認
44
年次有給休暇

Q13. 勤続期間に応じた年次有給休暇の付与は出来ていますか?

はい
64
はい(一部のみ)
16
いいえ(含む準備中)
34

Q14. Q.13で、「3」以外を回答された方のみお答えください。
付与した年次有給休暇が年10日以上の場合、年5日以上消化出来ていますか?

はい(全員が出来ている)
46
はい(出来ていない労働者がいる)
22
いいえ(含む準備中)
11
未確認
1
時間外労働と36協定

Q15. 法定労働時間(1日8時間、1週40時間)と法定休日(1週1日)を超える時間外労働に際しては労使間による36協定の締結と所轄の労働基準監督署への届け出を事業場(SS)ごとに必要であることはご存じですか?(2020年4月施行となっています)

はい(全SSで届け出ている)
57
はい(一部届け出ていないSSがある)
3
はい(準備中)
20
いいえ
32

Q16. Q.15で、「4」以外を回答された方のみお答えください。
36協定の特別条項(※)を適用されていますか?
(※)月45時間を超える時間外労働を行う場合は、特別条項付きの36協定が必要です。

はい(全SSで届け出ている)
44
はい(一部届け出ていないSSがある)
4
はい(準備中)
11
いいえ(一般条項のみの届け出)
16
未回答
5
同一労働同一賃金

Q17. 「同一労働同一賃金」をご存じですか?

知っている
76
名称は聞いたことがある(内容までは知らない)
23
知らない
14

Q18. Q.17で、「1」または「2」を回答された方のみお答えください。
「同一労働同一賃金」が来年(2021年)4月より中小企業にも適用されることはご存じですか?

知っている(自社は問題なし、もしくは改善あるいは対策済)
45
知っている(確認中、準備中)
27
知っている(未着手)
11
知らなかった
17
ハラスメントに関する調査

① 店長Aが女性スタッフBに対し同期よりも早い年数での時給アップを条件にプライベートでの付き合いを迫ったがBは断り、時給はアップしなかった。
店長Aはアウト?セーフ?

セーフ
1
アウト
111
3

回答と解説:アウト=典型的な対価型セクハラの一つ。私的なことを理由に不利益な取り扱いをしている。

② 女性スタッフBは化粧が派手でユニフォームの胸元を広く着ていたため、SSのスタッフとして適切でないことを男性スタッフCが注意したが、Bはそれをセクハラだと訴えた。
男性スタッフCはアウト?セーフ?

セーフ
89
アウト
11
身だしなみを整えることの注意は正しい・言い方次第では?
15

回答と解説:セーフ=ただし就業規則等で身だしなみについての具体的なルールを定めておくことが必要。

③ 男性スタッフDはアダルト動画が趣味で、休憩のたびに誰かれかまわず前日に見たその動画の内容を細かく説明する。女性スタッフBを含め楽しそうに聞いているが唯一パートのEだけが不快感をあらわにしてDに対してやめて欲しいと注意した。
男性スタッフDはアウト?セーフ?

セーフ
2
アウト
109
注意されて改善しないのならアウト
4

回答と解説:アウト=環境型のセクハラに該当します。

④ 本社の部長XはSSには月1~2度顔を出し、そのたびに店長やスタッフにハグするなどスキンシップを行なう。親しみの表現だと思うがSSの誰もがそれを嫌がっている。部長Xはアウト?セーフ?

セーフ
3
アウト
107
色々な条件による。これが社風なら入社時に説明して、嫌なら入社しなければ良い。諸外国なら当たり前のスキンシップですし。皆が嫌がっているなら店長が言えばいい。本人に言えないならその上に言えばいい。全てケースbyケース
5

回答と解説:アウト=対価型のセクハラに該当。

⑤ スタッフCがピットでリフトの操作中によそ見をしていて危険だった。とっさの事だったので店長Aが怒鳴ってかなりきつく注意した。
店長Aはアウト?セーフ?

セーフ
93
アウト
13
「かなり」は行き過ぎだと思う
9

回答と解説:セーフ=重大事故を防止するための注意は問題ありません。ただし人格を否定しない表現を。

⑥ 新人バイトのSは以前から素行や勤務態度が悪く、同僚からのクレームがあったため、店長Aは懲罰的な意味で数日間掃除と草刈りだけを行なわせた。
店長Aはアウト?セーフ?

セーフ
18
アウト
82
先ずは態度を改める指導が先
15

回答と解説:△=数日程度の場合は問題なし。これが恒常的に継続する場合は、「人間関係の切り離し」や「過小な要求」に該当する場合あり。

⑦ 店長Aに対しスタッフBが妊娠したため仕事の負担軽減を申し出たので、主任の職を解きその主任手当を停止した。
店長Aはアウト?セーフ?

セーフ
33
アウト
69
本人が降格(減給)同意していればセーフ
13

回答と解説:セーフ=本人から負担軽減を求めているので◯。人事権の濫用と言われないように合意しておくことが重要。

⑧ 女性スタッフBが新人の男性バイトスタッフSに対し、恋愛の事など極めて個人的なことを詮索することが日常化している職場である。店長Aを含めスタッフ全員がそれを気にとめることもない。社長WはSが文句を言うこともないため注意することもない。
Wはアウト?セーフ?

セーフ
27
アウト
62
知りながら放置はアウト
26

回答と解説:アウト=パワハラの6類型の一つである「個の侵害」に該当。

⑨ 新人スタッフのTは自動車整備の有資格者でもあり技術は申し分ない。将来を期待した店長Aは接客を徹底的に教え込んでいるが、Tは伸び悩んでいる。この会社には元々接客マニュアルなどはなく、先輩を見て学ぶことしか出来ないのが現状だ。しかし店長A期待のあまりかTを激しく叱ってしまった。
店長Aはアウト?セーフ?

セーフ
29
アウト
73
「激しく」はダメ。逆効果がある。しっかり理由を傾聴するとともにマニュアルも整備する。
13

回答と解説:セーフ=ただし人格を否定するような発言をしないこと。業務そのものを厳しく指導教育すること自体は問題なし。

⑩ 本社部長のXは出張も多く実に多忙。スタッフCは部長XがSSに在籍していた頃から先輩後輩の間がら。部長のXとも自宅が近くタイミングが合えば出退勤にCの自家用車で送迎もしていた。しかしある日の退勤時にXがゴルフの打ちっぱなしに寄りたいというのでCも同行した。Cはゴルフをしないので待つだけだったた。それが最近では毎日のようになり嫌になってきたがXには言い出せない。
部長Xはアウト?セーフ?

セーフ
4
アウト
102
Cが訴えることが大事である。また通勤は自分で行うべき。
9

回答と解説:アウト=職場での優位性を、業務の範囲を超えて、苦痛を与えることは典型的なパワハラに該当。

⑪ 男性スタッフのBが育児休業を申請したいと店長Aに相談してきた。店長Aは初めての事で判断できず部長Xに相談したところ、「この人手不足の時に何を言ってるんだ」と一蹴。店長Aは妥協案としてBに対し1日6時間までの勤務にすることを提案。Bはやむなく受け入れた。この措置について会社としてアウト?セーフ?

セーフ
20
アウト
77
合意ができてればいい。しかし、規則を作っていないことは問題。
18

回答と解説:アウト=育児休業の申し出を拒否はできません。(育児介護休業法第6条)

アンケート結果の感想

SSには社会的インフラを形成し維持しなければならない社会的役割があります。働く環境を整備し優良な労働力を確保する経営努力は、社会秩序の維持といった観点からも重要です。SSを経営する事業主のうち、おおよそ9割は個人事業並びに中小企業となっていますが、事業規模が小さいから法令を遵守しなくても構わないだろうといった甘え・油断は禁物です。アンケートにおいて雇用契約書の締結、36協定の届け出、年次有給休暇の実態をみると、法令を遵守していこうとする事業主の割合は約半分にしかないことがわかります。事業主が思う以上に労働者は働く環境に敏感です。当たり前のレベルでの基本的なことからしっかりと整備して、働く人が安心できる環境を整えることに、業界をあげて是非取り組んで欲しいと願っております。

ハラスメントに関しては、特に判断しやすい事例については問題を感じませんが、微妙な問題については判断が分かれています。判断に迷いそうな微妙な事例を中心に動画を作成していますので、しっかりと参考にしてほしいと願います。また働く環境の整備が整わず人員の確保が十分でいないと、職場の環境が乱れ、ハラスメントにつながります。ハラスメントの防止と働く環境の整備は一体で考えて欲しいものです。

他の業界の実例です。従業員には社員・パートの区別なく、高い業務レベルを要求し続ける一方で、働く環境整備には無関心な事業場があります。ここでは職場内での様々なトラブルが絶えない結果、会社の要求に耐えかねて働き手がどんどん退職していき、職場崩壊を起こす寸前になっているところがあります。

大変厳しい経済状況が続き、事業主の皆様のご苦労もいかばかりかと推し量るばかりです。働き方改革に取り組みことは、多くのご負担、ご心痛が伴うかもしれません。法律通りにやったら潰れてしまう、と思いがちですが、働き手が少子高齢化により少なくなる背景を思えば、働き手の確保は必須になります。環境の変化に対応するために、安定した労働力の確保に向けて、働きやすい環境を整備することに取り組んでみませんか。

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